領域A「用語の整理」の用語集です。語ごとに2つの説明を持っています。自分が分かるための定義(未経験の人が2〜3文で掴める)と、人に説明するための一言(非エンジニアの上司・顧客・後輩に、たとえで言い換える)。エンジニアの仕事の半分は、分かったことを前提の違う相手に翻訳することなので、辞書も翻訳用に持ちます。数値(速度・上限)は変わるので書きません。深掘りは各語の「記事で読む」へ。語を足すのは _data/glossary.yml だけです。
CPU・メモリ・ストレージ
CPU / Memory / Storage コンピュータコンピュータの3つの基本部品。CPU が計算し、メモリが作業中のデータを一時的に置き、ストレージが電源を切っても残るデータを保管する。クラウドの「インスタンスタイプ」は、この3つの量の組み合わせを選ぶこと。
人に説明するなら「頭の速さ・机の広さ・引き出しの大きさ」。速さが足りないのか、置き場が足りないのかで、増やすものが違います
OS とカーネル
Operating System / Kernel コンピュータOS はハードウェアとアプリの間に立つ基本ソフト。カーネルはその中核で、CPU・メモリ・ディスク・ネットワークをアプリに割り当てる。Linux はカーネルの名前で、それにツール群を足した配布物がディストリビューション。
人に説明するなら「機械とアプリの間の通訳」。アプリはハードを直接触らず、OS に頼んで動いています
プロセスとスレッド
Process / Thread コンピュータプロセスは実行中のプログラム1つ分(メモリ空間を持つ)。スレッドはプロセスの中で並行して動く処理の単位。「サーバーが重い」の切り分けは、どのプロセスが CPU やメモリを使っているかを見るところから始まる。
人に説明するなら「いま動いている仕事の単位」。重いときは、どの仕事が机(メモリ)と頭(CPU)を占めているかを見ます
ファイルシステム
File system コンピュータストレージの上でファイルとディレクトリを管理する仕組み。Linux では ext4 や XFS が使われる。クラウドのブロックストレージ(EBS)は「まっさらなディスク」なので、OS 側でファイルシステムを作ってマウントして初めてファイルが置ける。
人に説明するなら「引き出しの中の仕切り」。まっさらなディスクは仕切りを作るまでファイルを置けません
仮想化とハイパーバイザ
Virtualization / Hypervisor コンピュータ1台の物理サーバーの上で、複数の仮想的なサーバー(仮想マシン)を動かす技術。それを担うソフトがハイパーバイザ。クラウドの仮想サーバー(EC2)は、AWS が持つ物理サーバー上の仮想マシンをネットワーク越しに借りているもの。
人に説明するなら「1台の機械を、何台にも見せる技術」。クラウドの1台は、本当は大きな1台の一部です
コンテナと VM の違い
Container vs. Virtual Machine コンピュータVM(仮想マシン)は OS ごと丸ごと仮想化する。コンテナは OS のカーネルをホストと共有し、アプリと必要なライブラリだけを隔離して動かす。コンテナのほうが軽く起動が速いが、カーネルは共有なので隔離の強さは VM のほうが上。
人に説明するなら「部屋ごと借りる(VM)か、机だけ借りる(コンテナ)か」。コンテナは軽くて速いが、建物(OS)は共用です
記事で読む: ECS か EKS か、それとも EC2 か Lambda か|コンテナ基盤の判断を「何を自分で持ちたいか」で決める
ネットワークとは
Network ネットワーク複数のコンピュータをつないで、データをやり取りできるようにしたもの。「つながっている」は、相手の住所(IP アドレス)が分かり、経路(ルーティング)があり、途中で止められていない(ファイアウォール)の3つが揃った状態。
人に説明するなら「機械どうしが手紙をやりとりする仕組み」。宛先・道順・郵便局の3つで説明できます
LAN と WAN
LAN / WAN ネットワークLAN は家や会社の中の閉じたネットワーク、WAN は LAN 同士を遠く離れてつなぐネットワーク(インターネットは最大の WAN)。クラウドの VPC は「AWS の中に作る自分の LAN」と考えると位置づけが掴める。
人に説明するなら「社内の廊下(LAN)と、外の道路(WAN)」。境目にあるのがルーターです
IP アドレス
IP address ネットワークネットワーク上の機器につける住所。IPv4 は 192.168.1.10 のように4つの数字で書く。同じ LAN の中で使う「プライベートアドレス」と、インターネットで一意な「グローバルアドレス(パブリック IP)」がある。
人に説明するなら「機械の住所」。同じ住所は世界に1つ、社内用の住所は社内だけで通じます
サブネットと CIDR
Subnet / CIDR ネットワークサブネットは、大きなネットワークを小さく区切った範囲。CIDR は「10.0.0.0/24」のように、先頭アドレスと「先頭から何ビットがネットワーク部か」で範囲を書く記法。/24 なら 256 個のアドレスが1つのサブネットに入る。
人に説明するなら「町内会の区割り」。/24 は「この町内に 256 軒分の住所がある」という書き方です
記事で読む: VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
ゲートウェイ
Gateway ネットワーク自分のネットワークの外へ出るときの出口となる機器。宛先が自分のサブネットの外なら、パケットはまずデフォルトゲートウェイに送られる。AWS のインターネットゲートウェイと NAT ゲートウェイは、この役割をサービスにしたもの。
人に説明するなら「町の出口」。町内で見つからない宛先は、まず出口に渡します
記事で読む: VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
ポート番号
Port number ネットワーク1台の機器の中で、どのアプリ宛ての通信かを区別する番号。Web は 80(HTTP)と 443(HTTPS)、SSH は 22 が既定。「ポートが開いている」は、その番号で待ち受けるプロセスがあり、ファイアウォールが通している状態。
人に説明するなら「建物の中の部屋番号」。同じ住所でも、Web は 443 番、メールは別の部屋で受けます
プロトコル
Protocol ネットワーク通信の約束事。どういう順番で、どういう形式のデータを送るかを決めたもの。HTTP・DNS・TCP・IP はどれもプロトコルで、それぞれが違う層の約束事を担当している。
人に説明するなら「手紙の書式の約束」。書式が合わないと、届いても読めません
パケット
Packet ネットワークデータを小さく分けて送るときの1つ分。宛先と送信元の IP アドレス、ポート番号、中身(ペイロード)が入っている。ネットワークの機器は、このヘッダを見て次にどこへ送るかを決める。
人に説明するなら「手紙を小分けにした封筒」。大きなデータは分けて送り、届いた先で組み立て直します
帯域・レイテンシ・スループット
Bandwidth / Latency / Throughput ネットワーク帯域は道路の幅(一度に流せる量)、レイテンシは往復にかかる時間、スループットは実際に流れた量。「遅い」と言われたとき、この3つのどれが問題かで対処が変わる。
人に説明するなら「道路の幅・信号待ちの時間・実際に運べた量」。幅が広くても信号が多ければ遅く感じます
ping とは
ping ネットワーク相手に「届きますか」と小さな信号(ICMP)を送り、返事が来るかと往復時間を確かめるコマンド。返事が来なくても「壊れている」とは限らず、途中のファイアウォールが ICMP を止めているだけのことも多い。
人に説明するなら「呼びかけて返事が来るか」の最小の確認。返事が無いのは、道が無いか、相手が黙っているかのどちらかです
DNS とは
Domain Name System ネットワークexample.com のような名前を IP アドレスに変換する仕組み。ブラウザは通信する前にまず DNS に名前を問い合わせる。名前解決ができなければ、どんなにサーバーが元気でも「つながらない」。
人に説明するなら「名前から住所を引く電話帳」。名前で開けないとき、最初に疑うのは電話帳です
NAT とは
Network Address Translation ネットワークプライベート IP アドレスを、外に出るときにグローバル IP アドレスに書き換える仕組み。家の Wi-Fi ルーターがやっていることと同じ。AWS ではプライベートサブネットのサーバーがインターネットへ出るのに NAT ゲートウェイを使う。
人に説明するなら「社内の住所を、外に出るときだけ代表の住所に書き換える受付」。外からは中の住所が見えません
記事で読む: VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
ファイアウォール
Firewall ネットワーク通信を、送信元・宛先・ポート番号のルールで通すか止めるかを決める仕組み。AWS のセキュリティグループはインスタンス単位の、ネットワーク ACL はサブネット単位のファイアウォール。
人に説明するなら「門番」。どの部屋番号に、どこからの手紙を通すかの許可表です
記事で読む: VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
プロキシ
Proxy ネットワーク通信を代理で中継するサーバー。利用者の代わりに外へ出る「フォワードプロキシ」と、サーバーの前に立って受ける「リバースプロキシ」がある。ロードバランサや CDN はリバースプロキシの一種。
人に説明するなら「代理で取りに行く人」。本人の代わりに外に出るので、記録と制限をかけやすくなります
ロードバランサ
Load balancer ネットワーク複数のサーバーの前に立ち、届いたリクエストを振り分ける装置。1台が壊れても残りで受け続けられるので、可用性の土台になる。AWS の ELB がこれ。
人に説明するなら「受付で来客を空いている窓口に振り分ける人」。窓口が1つ倒れても受付は続きます
CDN
Content Delivery Network ネットワーク画像や動画などの配信物を、利用者に近い場所のサーバーにコピーして返す仕組み。遠い本体サーバーまで取りに行かないので速く、本体の負荷も減る。AWS では CloudFront。
人に説明するなら「各地に置いたコピーの倉庫」。遠くの本店まで行かず、近くの倉庫から渡すので速くなります
VPN
Virtual Private Network ネットワークインターネットのような公開ネットワークの上に、暗号化した専用の通り道を作る技術。会社の LAN と AWS の VPC をつなぐ「Site-to-Site VPN」は、この仕組みをサービスにしたもの。
人に説明するなら「公道の上に引いた専用のトンネル」。中身は外から読めませんが、道路そのものは公道です
TCP と UDP
TCP / UDP ネットワークどちらもデータを運ぶ約束事。TCP は届いたか確認しながら順番どおりに送る(Web・メール)。UDP は確認せずに送りっぱなしで軽い(DNS の問い合わせ・動画・音声)。
人に説明するなら「届いたか確認しながら送る(TCP)か、確認せず速く送る(UDP)か」。用途で使い分けます
HTTP と HTTPS
HTTP / HTTPS ネットワークWeb ページをやり取りする約束事が HTTP。それを TLS で暗号化したものが HTTPS。HTTPS の「S」は暗号化と、相手が本物のサーバーであることの証明(証明書)を意味する。
人に説明するなら「Web の手紙の書式」と「それを封筒に入れて封をした版」。S が付けば途中で読まれません
サーバーとクライアント
Server / Client ネットワークサービスを提供する側がサーバー、それを使う側がクライアント。ブラウザはクライアント、Web サイトを返すコンピュータがサーバー。役割の名前であって、機械の種類ではない。
人に説明するなら「頼まれる側と、頼む側」。役割の名前で、機械の種類ではありません
クラウドとは
Cloud computing クラウドサーバー・ストレージ・ネットワークなどのコンピュータ資源を、自分で買わずにインターネット越しに必要な分だけ借りて使う形。使った分だけ払い、要らなくなったら返せる。
人に説明するなら「サーバーを買わずに、必要な分だけ借りる形」。買うか借りるかの違いで、魔法ではありません
オンプレミス
On-premises クラウド自社の建物やデータセンターに、自分で買ったサーバーを置いて運用する形。クラウドと対比で使われる。買う前に容量を決めなければならず、増減に時間がかかるのが特徴。
人に説明するなら「自分の建物に自分の機械を置く形」。全部自分で持つ代わりに、全部自分で面倒を見ます
IaaS・PaaS・SaaS
IaaS / PaaS / SaaS クラウドクラウドをどこまで借りるかの区分。IaaS は仮想サーバーやネットワークまで(EC2)、PaaS はアプリを動かす土台まで(Elastic Beanstalk・Lambda)、SaaS は完成したソフトそのもの(Gmail など)。上に行くほど自分でやることが減る。
人に説明するなら「どこまで借りるか」の3段階。機械だけ・動かす土台まで・アプリごと、の順に借りる範囲が広がります
リージョンと AZ
Region / Availability Zone AWSリージョンは「東京」「大阪」のような地理的な拠点。AZ(アベイラビリティゾーン)はリージョンの中で電源・ネットワークが独立した1つ以上のデータセンターの集まり。複数の AZ に分けて置くと、1か所の障害で全部が止まらない。
人に説明するなら「国・地方(リージョン)と、その中の別々の建物(AZ)」。建物を分けて置けば、1棟の火事で止まりません
従量課金
Pay as you go クラウド使った時間・量に応じて払う料金の形。サーバーを止めれば止めた分は減る。逆に「止め忘れ」がそのまま請求になるので、請求アラートを先に設定するのがクラウドの最初の作法。
人に説明するなら「使った分だけ払う」。止め忘れも払うので、電気と同じで消す習慣が要ります
スケールアップとスケールアウト
Scale up / Scale out クラウドスケールアップは1台を大きくする(CPU・メモリを増やす)。スケールアウトは台数を増やす。クラウドは台数の増減が容易なので、スケールアウトできる作り(どの1台でも同じ仕事ができる)にしておくと強い。
人に説明するなら「1台を大きくする」か「台数を増やす」か。増やす方は1台が倒れても続きます
可用性
Availability クラウドシステムが使える状態にある割合。「99.9%」のように書く。高くするには、1つが壊れても残りで動く構成(冗長化)と、壊れたことに気づく仕組み(監視)の両方が要る。
人に説明するなら「使いたいときに使える割合」。100% は無く、どこまでお金を払って近づけるかの話です
冗長化
Redundancy クラウド同じ役割のものを2つ以上用意して、1つが壊れても続けられるようにすること。サーバーを2台にする、AZ を2つに分ける、データベースにスタンバイを置く、はどれも冗長化。
人に説明するなら「予備を持つ」。壊れない前提ではなく、壊れても続く前提で組む考え方です
責任共有モデル
Shared responsibility model AWSクラウド事業者と利用者で、セキュリティの責任をどこで分けるかの考え方。AWS はデータセンターやハードウェアなど「クラウドの」セキュリティを、利用者は OS の更新・権限・データの暗号化など「クラウド内の」セキュリティを担う。
人に説明するなら「建物と設備は貸主、部屋の中と鍵の管理は借主」。鍵をなくしたら借主の責任です
マネージドサービス
Managed service クラウドサーバーの用意・OS の更新・バックアップなどの運用作業を事業者側がやってくれるサービス。RDS はマネージドなデータベースで、自分で EC2 に MySQL を入れて運用するより手間が減る代わりに、自由度は下がる。
人に説明するなら「面倒を見る仕事ごと借りる」。バックアップや更新を代行してもらう代わりに、細かい自由は減ります
サーバーレス
Serverless クラウドサーバーを自分で持たず、コードや処理の実行だけを頼む形。Lambda が代表。サーバーが無いのではなく「サーバーの管理を利用者が意識しなくてよい」という意味。使わないときの料金がかからないのが特徴。
人に説明するなら「サーバーを意識せず、処理だけを預ける形」。サーバーは無いのではなく、見えないだけです
記事で読む: ECS か EKS か、それとも EC2 か Lambda か|コンテナ基盤の判断を「何を自分で持ちたいか」で決める
IaC
Infrastructure as Code クラウドサーバーやネットワークの構成を、画面操作ではなくコード(テキスト)で書いて作る方法。同じ構成を何度でも正確に作れ、変更の履歴が残る。CloudFormation・CDK・Terraform が道具。
人に説明するなら「構成を手順書ではなくコードで持つ」。同じものをもう一度、同じように作れます
SLA と SLO
SLA / SLO クラウドSLA は事業者が利用者に約束する水準(守れなければ返金などがある契約)。SLO は自分たちが内部で目標にする水準。監視で「何を見るか」は SLO から逆算して決める。
人に説明するなら「約束(SLA)と、自分たちの目標(SLO)」。目標を約束より高く置いておくと、約束を守れます
IAM
Identity and Access Management AWSAWS で「誰が・何に・何をしてよいか」を決める仕組み。ユーザー・グループ・ロールに、JSON で書いたポリシーを付けて権限を与える。AWS を安全に使えるかは、ここを理解しているかでほぼ決まる。
人に説明するなら「誰が・何に・何をしてよいかの許可表」。人だけでなく、プログラムにも同じ表で許可を出します
VPC
Virtual Private Cloud AWSAWS の中に作る、自分専用の仮想ネットワーク。IP アドレスの範囲を決め、サブネットに分け、ルートテーブルで経路を、セキュリティグループで通信の可否を決める。EC2 や RDS はこの中に置く。
人に説明するなら「クラウドの中に借りた、自分専用の区画」。区画の中の道と門は自分で引きます
記事で読む: VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
EC2
Elastic Compute Cloud AWSAWS の仮想サーバー。CPU・メモリの組み合わせ(インスタンスタイプ)と OS のひな形(AMI)を選んで起動し、時間単位で払う。クラウドの「最初の1台」はたいていこれ。
人に説明するなら「借りた1台のサーバー」。時間単位で借り、止めれば課金も止まります(ディスク代は残ります)
S3
Simple Storage Service AWSファイル(オブジェクト)を置くストレージ。容量の上限を気にせず置け、耐久性が高い。サーバーのディスク(EBS)とは違い、OS からマウントして使うものではなく、API で出し入れする。
人に説明するなら「置いた分だけ払う、ほぼ無限の物置」。サーバーではないので、ファイルを置く以外の仕事はしません