AWS とは何かで、リージョンと AZ という言葉は出てきました。ところがコンソールを開くと、右上に「東京」と出ていて、EC2 を作る画面には「ap-northeast-1a」のような選択肢があり、料金ページには「リージョンによって異なります」とあります。「どこに置くか」を聞かれているのは分かるけれど、何を基準に選べばいいのか、そもそも東京の中に a や c があるのは何なのかが分からない。この記事は、AWS の「置き場所」を3つの単位に分け、なぜ分かれているのかから説明します。
この記事の結論
- AWS の置き場所には、リージョン(国や地方の単位)・AZ(リージョンの中の別々の建物群)・エッジロケーション(各地の出張所)の3つの単位があります。
- 置き場所が分かれているのは、利用者に近い方が速い・データを置く国を選べる・1つの建物の事故で全部が止まらない、の3つの理由からです。
- 同じ AZ に2台置いても、建物ごと止まれば両方止まります。止まりにくくするには、別の AZ に分けて置きます。
- リージョンは、利用者に近いか・使いたいサービスがあるか・料金がいくらか、の3つで選びます。料金はリージョンで違い、単価は公式の料金ページで確認します。
- 日本の学習者はまず東京リージョンを使えばよく、最初に踏む事故は「右上のリージョンが違って、作ったものが見えない」です。
リージョン・AZ・エッジとは — 3つの「置き場所」の単位
AWS は、世界のあちこちにデータセンターを持っています。ただ、それを1つの大きな倉庫として見せるのではなく、3つの単位に分けて見せています。会社の拠点にたとえると、支社・その支社の複数の建物・各地の出張所、の3段です。
REGION / AZ / EDGE置き場所の3つの単位
リージョンの中に AZ があり、エッジはその外の出張所
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支社
リージョン — 国や地方の単位。どの国に置くかを決める
東京 ap-northeast-1 / 大阪 ap-northeast-3
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建物群
AZ — リージョンの中の、離れた場所の別々の建物群
ap-northeast-1a・1c・1d。電源もネットワークも別
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出張所
エッジロケーション — 各地の小さな拠点。コピーや返事を近くから返す
CloudFront・Route 53 が使う。EC2 は置かない
- リージョン。 国や地方の単位です。日本には東京(
ap-northeast-1)と大阪(ap-northeast-3)があります。リージョンを選ぶことは、「どの国のどの地方に自分のサーバーやデータを置くか」を決めることです。 - AZ(アベイラビリティゾーン)。 1つのリージョンの中にある、離れた場所の別々の建物群です。東京リージョンの中に
ap-northeast-1a・1c・1dのように複数あり、それぞれ電源・冷却・ネットワークが分かれています。AZ どうしは高速な専用線でつながっていて、互いに近いけれど、同じ災害に巻き込まれない程度には離れています。 - エッジロケーション。 リージョンとは別に、世界各地に置かれた小さな拠点です。エッジロケーションにはサーバー本体(EC2 など)を置くのではなく、CloudFront がページのコピーを、Route 53 が DNS の返事を、利用者の近くから返すために使います。
未経験のうちに覚えるべきは、「リージョン ⊃ AZ」の入れ子と、「エッジはその外にある出張所」の2点です。AZ の数や場所の一覧は変わるので、AWS のグローバルインフラストラクチャの公式ページで確認してください。
CHECK 1ここまでの確認
リージョン・AZ・エッジロケーションのうち、「1つのリージョンの中にある、離れた場所の別々の建物群」はどれ?
答えと解説
答え: 2. AZ(アベイラビリティゾーン)
AZ はリージョンの中の区画で、それぞれ別の場所に建物群を持ち、電源やネットワークも分かれています。エッジは各地の出張所で、リージョンの中にはありません。「3つの置き場所の単位」を読み直してください。
なぜ置き場所が分かれているのか
1つの巨大なデータセンターにまとめた方が管理は楽なはずです。それでも分けているのには、3つの理由があります。
- 近い方が速い。 通信は光の速さでも距離のぶん遅れます。日本の利用者が使うサービスを海外のリージョンに置くと、往復のたびに遅れが積み重なります。利用者の近くに置くのが速さの基本です。
- データを置く国を選べる。 法律や契約で「このデータは国内に置くこと」と決まっていることがあります。リージョンを選ぶことが、そのままデータを置く国を選ぶことになります。
- 1つの建物の事故で全部が止まらない。 停電・火災・水害・ネットワークの切断は、1つの建物で起きます。建物群を分けておけば、片方が止まっても、もう片方は動き続けられます。これが AZ を分けている理由です。
CLOSER IS FASTER近い場所へ届く旅
頼みは近くの出張所へ、無ければリージョンの建物群へ
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利用者
日本からページを頼む
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DNS
近い拠点の住所を返す
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エッジ
コピーがあれば返す
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東京リージョン
無ければ本体へ
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AZ のサーバー
建物群の中の1台が返事
3つの理由は、それぞれ別の単位に対応しています。「近さ」と「国」はリージョンで決まり、「事故に耐える」は AZ で決まり、「もっと近く」はエッジが担う。この対応が頭にあると、「なぜマルチ AZ なのか」「なぜ CloudFront を前に置くのか」という上の段の設計の話が、置き場所の話として読めるようになります。
AZ をまたぐとは何か — 同じ建物に2台置いても意味がない
「止まりにくくするためにサーバーを2台にした」という話は、クラウドを学ぶと早い段階で出てきます。ここで大事なのは、2台をどこに置くかです。
同じ AZ に2台置いた場合、1台の故障には耐えます。けれども、その AZ の建物群が停電すれば、2台とも同じ電源に乗っているので、両方止まります。2台にした意味が、建物ごとの事故には効きません。
別々の AZ に1台ずつ置いた場合、片方の AZ が丸ごと止まっても、もう片方の AZ の1台は動き続けます。これが「AZ をまたぐ」「マルチ AZ にする」の意味です。AWS が AZ を電源やネットワークごと分けているのは、利用者がこの置き方をできるようにするためです。
SAME AZ TO MULTI-AZ2台をどこに置くか
同じ建物に2台ではなく、別の建物に1台ずつ
1つの AZ に2台ap-northeast-1a に2台
2つの AZ に1台ずつ1a と 1c に1台ずつ
1つの AZ に2台: 1台の故障には耐える
2つの AZ に1台ずつ: 1台の故障にも、AZ の停止にも耐える
1つの AZ に2台: 同じ電源・同じネットワーク
2つの AZ に1台ずつ: 別の電源・別のネットワーク
1つの AZ に2台: 建物ごと止まれば両方止まる
2つの AZ に1台ずつ: 片方が止まっても、もう片方が動く
なお、AZ は自動では分かれません。EC2 を作るときに、どのサブネット(=どの AZ)に置くかを自分で選びます。「2台作ったから安心」ではなく、「2つの AZ に分けたから安心」です。サブネットと AZ の関係は VPC とは何かで扱います。
CHECK 2ここまでの確認
同じ AZ にサーバーを2台置いた。この構成で「止まりにくさ」はどう変わる?
答えと解説
答え: 2. 1台の故障には耐えるが、AZ ごと止まれば2台とも止まる
同じ AZ の2台は、同じ建物群の同じ電源とネットワークに乗っています。1台の故障には耐えますが、建物ごとの事故には両方が巻き込まれます。AZ は自動では分かれません。「AZ をまたぐとは」を読み直してください。
リージョンはどう選ぶか — 近さ・サービス・料金
置き場所の意味が分かると、リージョンを選ぶ基準も3つに整理できます。
| 基準 | 問い | 東京と大阪の例 |
|---|---|---|
| 利用者に近いか | 使う人は主にどこにいるか | 日本の利用者なら、どちらも近い。海外の利用者が多いなら、その地域のリージョンも検討する |
| 要件に合うサービスがあるか | 使いたいサービスが、そのリージョンで提供されているか | 新しいサービスは東京が先のことが多い。大阪で使えるかは公式ページで確認 |
| 料金はいくらか | 同じサービスでも、リージョンで単価が違う | 単価は公式の料金ページで、リージョンを切り替えて比べる |
料金がリージョンで違うのは、土地・電気・回線の費用が国や地方で違うからです。同じ EC2 の同じ種類でも、リージョンが違えば単価が違います。具体の数字はこの記事には書きません。改定されるので、公式の料金ページで、リージョンを切り替えながら確認してください。料金の全体の考え方は AWS の料金の考え方にあります。
もう1つ、法律や契約の「国内に置くこと」という制約があれば、それが最優先です。近さや料金より先に、置いてよい国が決まります。
CHECK 3ここまでの確認
コンソールで「作ったはずの EC2 が一覧に無い」。まず疑うのはどれ?
答えと解説
答え: 2. 右上のリージョンが、作ったときと違う
コンソールはリージョンごとに別の一覧を見せます。大阪で作ったものは、東京を表示している間は見えません。未経験の人が最初に踏む事故です。「未経験の人がまず知ればよいこと」を読み直してください。
未経験の人がまず知ればよいこと
ここまでの話を、いまの自分に必要な範囲に絞ります。
東京リージョンを選ぶ。 学習で使うなら、東京で困ることはほとんどありません。日本の利用者に近く、使えるサービスの種類が多く、日本語の解説も東京を前提に書かれています。大阪は「東京から離れたもう1つの置き場所」として、災害対策の構成で必要になったときに使います。
右上のリージョンを見る癖をつける。 コンソールは、いま右上に表示しているリージョンの中身しか見せません。大阪で EC2 を作ったあとに東京を表示すれば、一覧は空です。
リージョンの「見えない」事故の型
- 作ったはずの EC2・VPC・S3 バケットが一覧に無い → 右上のリージョンが、作ったときと違う。削除されたのではない。
- 止めたつもりのサーバーが動き続けていて、料金がかかっている → 別のリージョンに作ったものを、見えないまま忘れている。
- チュートリアルどおりに進めているのに「そのリソースが見つからない」と出る → 手順のリージョンと、自分のリージョンが違う。
このうち2つ目は、料金の事故として実害が出ます。請求ダッシュボードは全リージョンの合計を見せるので、「何も作っていないはずなのに料金が出ている」ときは、まずリージョンを1つずつ切り替えて、動いているものが無いかを見ます。EC2 の作り方そのものは EC2 とは何かで扱います。
READ ALSO — 学習中向け・段1 入口
VPC とは何か|サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループと NACL の関係を1枚で
まとめ
AWS の置き場所は、リージョン(国や地方)・AZ(リージョンの中の別々の建物群)・エッジロケーション(各地の出張所)の3つの単位です。分かれているのは、近い方が速い・データを置く国を選べる・1つの建物の事故で止まらない、の3つの理由から。同じ AZ に2台置いても建物ごとの事故には耐えられず、止まりにくさは AZ をまたいで初めて手に入ります。リージョンは、近さ・サービスの有無・料金で選び、料金の単価は公式の料金ページで確認します。未経験のうちは東京を選び、右上のリージョンを見る癖をつければ十分です。
参照ソース
- リージョンとアベイラビリティーゾーン(Amazon EC2 ユーザーガイド) — リージョンが独立した地理的な区画であること、AZ がリージョン内の分離された場所で、電源・ネットワークが独立し、低遅延の回線でつながっていることの根拠(2026年9月時点)
- AWS グローバルインフラストラクチャ — リージョンとアベイラビリティーゾーン — リージョン・AZ・エッジロケーションの3つの単位と、AZ が互いに離れた場所にあることの根拠。数や一覧はこのページで確認(2026年9月時点)
- AWS サービスエンドポイント(AWS 全般のリファレンス) — 東京(ap-northeast-1)・大阪(ap-northeast-3)のリージョンコードの根拠(2026年9月時点)
- CloudFront のエッジロケーションを使用する(Amazon CloudFront 開発者ガイド) — エッジロケーションが利用者の近くからコピーを返す仕組みの根拠(2026年9月時点)
- 信頼性の柱 — 複数の場所へワークロードをデプロイする(AWS Well-Architected フレームワーク) — 複数の AZ にまたいで置くことが、単一の場所の障害に耐えるための推奨であることの根拠(2026年9月時点)

